piano-treeの日記

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「騎士団長殺し」のトポロジー。物語に潜む2つの三面鏡

トポロジーとは数学の一種で、どのように連続変形しても保たれる図形的な性質に着目する幾何学だ。位相幾何学と訳される。切ったりくっつけたりはせず、曲げたり伸ばしたりを繰り返すことを連続変形という。ドーナツ型を曲げたり伸ばしたりした(切ったりく…

マイルス・デイビスに学ぶビジネスイノベーター5箇条

世にクリエイターは数多かれど、マイルス・デイビスほどクリエイティブな人は空前絶後です。スウィングジャズの全盛にはパーカーやガレスピーらとビバップの創設に携わり、その後クールジャズ、ハードバップ、モードジャズ、フュージョンと新しい音楽の「ジ…

自分を見下した人を、もし大統領になったらどう処するか?

あまり有名ではないけど、大好きなあるアメリカ大統領のanecdote(逸話)。リンカーンが当時しがない田舎町だったシカゴの、名もない弁護士だったとき、全米で話題の特許裁判の共同弁護人を、当時のスター弁護士だったハーディング弁護士とワトソン弁護士に…

マーケティングはもはや組織の一機能ではなく、一つの思想である

「カスタマーマーケティング」という名前を聞いて、どんな仕事をしているセクションを思い浮かべるでしょうか。英語圏の消費財メーカーでカスタマーマーケティングというと、一般的には小売企業に対するマーケティング活動を意味します。ボリュームインセン…

広告は人類を幸福にするのか?

ドイツで受けたプレゼンテーションのトレーニングで、こんなスピーチのお題がありました。“地球が滅亡する。有志の科学者集団が火星にプランテーションをつくり、そこには100人の地球人が50年過ごせるだけの食料が備蓄してある。50年の間に、その100人はそこ…

あらゆる「メディア」が終焉を迎える時、企業コミュニケーションの形が変わる

【コンテンツは「メディア」ではなく「カタリスト」に】スターバックスで一番小さいドリンクのサイズは、ご存じの通りショートです。その次に大きなサイズがトールで、グランデと続きます。今やもう当たり前になってしまって何も感じませんが、これには最初…

広告宣伝は「雨乞い」のようなもの、ブランドは「自然発生」する

日本の漫画やアニメは海外でも人気ですが、「クール」だと思われているかというと疑問です。ビジネスで日本に駐在しているある外国人の友人は、「日本に住んでいる、というとよく勘違いされるけど、自分は漫画オタクではない」と眉をひそめます。一方で、国…

A4用紙1ページで整理する「ブランド戦略」

日本語でいう「ペラいち」を英語では「1 pager」といいます。しかし、英語の1 pagerは日本語のペラいちより用途が広く、イベントの概要や会議のアジェンダのみならず、企業戦略や事業戦略などが、1 ページにまとめられることもよくあります。むしろ、事業の…

必要なのは、実は英語ではない――「グローバルな知性」を身につける4つの特効薬

グローバル企業で世界各国の優秀な人たちと接する傍ら、広告会社はじめ日本の名だたる有名企業の優秀な人たちともお仕事させていただく機会に恵まれ、「頭のいい人」「優秀な人」の定義が日本とグローバル企業ではだいぶ違うな、という印象を持つようになり…

国家プロジェクトをもかき回す「ロゴ」という偶像、「ブランド」という念仏

ブランドガイドラインをめぐり、「神学論争」をしたことはありませんか?いわく、このロゴのまわりの余白は「先進的」ではない。いわく、このモデルの前髪は「挑戦」というブランド価値に反する。そうした議論は感情的にヒートアップすることも少なくなく、…

コンサル会社の広告界への参入」が日本で意味すること

アドバタイムスのコラムを更新しました。以下、引用です。---コンサルティング会社の広告界参入が大きな話題です。米国に端を発した世界規模の合従連衡がダイナミックに進行中ですが、これは日本においては、米国にはない特別な意味を持つ出来事です。そして…

「憲法」という言葉の誤訳から、意識高い系の横文字多様を擁護する

テレビで「憲法はなぜ必要か?」という特集をしていて非常に驚きました。憲法の重要性を解りやすく伝える、という制作者の趣旨は解るものの、ぱっと聞いた感じ非常に突飛な印象を受けます。憲法は国の設計図なので、憲法がなぜ必要か?というのは、国はなぜ…

「邪魔」と「妨害」

Advertimes(アドタイ)に連載中のコラムを更新しましたので、こちらでも紹介させていただきます。以下が本文です。----皆さんの家には「執事」は、いらっしゃいますでしょうか。私の家にはおりません。執事というと、時代ものの映画や小説のなかでしか、私…

「イマジン」の7年前、アメリカにはまだ白人専用バスがあった

話題になっている丸山議員の「奴隷」発言ですが、マスコミによる恣意的な前後の切り取りがあるにせよないにせよ、「ハッキリ言って奴隷ですからね」は他国元首に対する尊敬と、もっと根本的に他人に対する配慮を欠く発言で不適切だと思いますし、まったく擁…

「縁起かつぎ」は理にかなっている、という般若心境の教え。

私が仏教に興味を持つようになったのは、二十代前半の頃に奈良の薬師寺を観光で訪れたことがきっかけでした。当時の私は西洋文化に傾倒しており、好きな画家の故郷を訪ねベルギー辺境の港町を訪れたり、有名な建築物を見るためにスペインの紛争地に赴いたり…

「空気を読む人」が海外で評価されない、実はとても哲学的な理由

インターネットでは、面識のない個人や、違う場の空気をもつコミュニティが人やグループの行動・言動に緩やかに、時に匿名で一方的に干渉できるので、職場や学校などといったリアルの世界と比べ「批判」が醸成されやすいのは我々の経験がよく知るところです…

終わるのはテレビ(テレビ広告)ではなくそもそもブランディングだ、という話

テレビがつまらなくなったと言われて久しいです。実際につまらなくなったかどうかは別として、私自身事実ほとんどテレビを見なくなったし、テレビの視聴者は2015年までの過去15年で800万人程度減っていると言われています。広告費を原資に面白いコンテンツを…

ソーシャルメディアはshallow(薄っぺらい)か?

3〜4年前になると思いますが、Nicholas Carrという人が書いたThe Shallowsという本を、出張時に外国の本屋でよく見かけ、確かサンフランシスコで購入しました。一言でいうなら、インターネットは人間の思考を薄っぺらくしていく、ということを入念なリサーチ…